映画批評:Particle Insight

映画批評:Particle Insight

『プーと大人になった僕』評

本作は擦り切れた大人になったクリストファー・ロビンが、童心の表象として描かれる旧友「プー」に再会する物語だ。物語は、A・Aミルンの原作の終盤から始まる。寄宿学校へ旅立つことになった少年クリストファー・ロビンを、100エーカーの森の仲間たちが...
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『百万円と苦虫女』評

「姉ちゃんには、かき氷の才能があるらしいです」この台詞がやけに耳に残っており、偶に反響する。十八年前に観て以来、ずっと。……というわけで、本作の視聴は人生で二度目だ。その切っ掛けは「苦虫女」だ。私が個人的にフォローしている女性の方は、どこと...
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『リリィ・シュシュのすべて』評

目に刺さる青、空だ。そして、田園。緑がどこまでも続いていく。いつか見た景色だと錯覚するような映像に、俺は遂に目暗になる。この描写を際立たせるものは、醜く息苦しい社会だ。家族や学校という共同体が空洞化し、"大きな物語"を失った社会において、少...
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『半沢直樹(2013)』評

十年ほど遅ればせながら『半沢直樹』を観た。一気に観た、十話ぶっ通しだ。それはあまりにも続きが気になったから――ではない、残念なことながら。一話の時点で、展開はすべて読めてしまった。まあクリエイターなら誰でも読めると思うが、この辺りは職能のマ...
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『インセプション』評

私は公私問わず、知人からお勧めされる音楽や映画を鑑賞することが好きだ。最低限クオリティの保証がされているから――というのは些細な利点である。クオリティなんて直観が働かない時であっても冒頭の三十秒を観れば分かる。だからこれは本質的な利点にはな...
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『生きる』評

欧米のインテリと話していると映画の話になることがあるが、「いまや日本人よりも西洋人の方が古典的教養の涵養として、小津安二郎や黒澤明を観ているんじゃないか?」と錯覚する。日本人はもっと小津や黒澤を観るべきであると私は訴えたい。映画が教養になる...
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『火垂るの墓』評

言わずと知れた名作『火垂るの墓』を久し振りに観た。どれくらい久し振りなのかと言えば、四半世紀くらい。その割に、細かいディティールまでよ~く覚えていた。しかし、感想は当時のものとは似ても似つかなかった。圓見恭二は、かの名作をどのような視点で捉...
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『PERFECT DAYS』評

若干のネタバレになるかもしれないが、この映画は、基本的に何も起こらない。何かが起こりそうな予感だけはずっとあった。しかし、風船が破裂することを終ぞなかった。自らシュルシュルと萎むことを選んだように。それなのに、私は画面から目が離せなかった。...
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『パーマネント野ばら』評

"はちきん"な土佐の女たちが繰り広げるハートフルコメディ。恐らくその土地の風土で、オバハンは皆パンチをかけている。もしくは、たまり場の「パーマネント野ばら」の功績である。これだけ聞くとファニーな映画のようだが、基本的には、笑いの薄い吉本新喜...
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『人情紙風船』評

前々から思っていたことだが、私の琴線に触れる映画は配信にないことが多い。今回も本当は『ヤンヤン 夏の思い出』や『君と歩く世界』を観たかったのだが、いつものように配信になかったので次善として『人情紙風船』をチョイスした。私のスタイルにおける完...